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TYPE-B

TYPE-B

伝統の手仕事とアイデアのボンディング。

シリーズ6作目となるA-POC ABLE ISSEY MIYAKEのものづくりムービーは、「TYPE-B」をフィーチャーします。幾何学的なテキスタイルの凹凸が際立つプロダクトは、一見するとプリント柄のようにも見えますが、半分だけ正解。というのもプリント技術を応用して異素材の貼り合わせ、つまりボンディングを更新しているから。なんだかややこしいと思われるかもしれませんが(精巧な手仕事が必要なのは確かです)、そのようなときこそムービーの出番。複雑な工程をご覧いただけます。

ものづくりのプロセスのコアとなるのは京都の手捺染(てなっせん)。職人の手仕事によって、スキージーを用いて均一に柄を印刷していく伝統的な染色技法です。ただし今回のプロダクトではその熟練の手仕事を、染色ではなく生地を意図した箇所のみ貼り合わせる手法に応用しています。

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まず服のパターンと柄が刻まれたシルクスクリーンの版を使ってポリエステルの基布に糊付けし、天然繊維のジャージーを重ねてボンディングする。さらにその上から模様を反転させた版を使い、特殊な成分が入った糊をぴたりと重なるように刷っていく。こうして2度の手仕事を経た布に熱を加えると、天然繊維を溶融させる成分により、服のパターンと模様だけが基布に残ります。その後の洗い流しと吊り干しも、伝統的な水洗の工房の技が生かされているようです。

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こうして生み出された一枚の布には、あらかじめ服の設計がボンディングによって表現されています。あとはハサミで切り出して縫製の工程へ。直線的なカッティングと幾何学的な凹凸がユニークな「TYPE-B」のパンツとなります。

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もちろん、もともとはプリントの技術の応用のため、スクリーンの版を新たに設計すれば、あらゆるデザインの表現が可能になります。ものづくりのプロセスごと変革して、新しい可能性を生み出す。A-POC ABLE ISSEY MIYAKEのデザイン思考を、熟練の職人技と新しい発想の技術、そしてそれらをつなぐ柔軟なアイデアで実装しています。

文 : 瀬田 抄