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スペシャルプロジェクト

エレーヌの日日

プリーツ プリーズのある日常

第1回 仕事に行く1—スタジオ訪問

 PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE スペシャルプロジェクト

彼女はエレーヌ・ケルマシュテール。フランス生まれ。
職業はキュレーター。展覧会や文化プロジェクトの企画に携わる。
パリのカルティエ現代美術財団に15年以上勤務するかたわら、フリーランスのキュレーターとして様々な国で仕事をしてきた。
2007年からフランス大使館文化担当官として日本で5年を過ごし、その後ブエノスアイレス、ローマでも暮らした。2023年の秋から再び東京で暮らしている。

エレーヌは毎朝、7時7分に起きる。
その時間に目覚し時計をセットしている理由は、ひとり娘が生まれた時間だから。
身支度をして服を着て、大きなティーポットに煎れたお茶を飲む。
そして仕事に出かける。

仕事柄、彼女のスケジュールにルーティンはない。
オフィスでの会議、準備中のプロジェクトの調整、展覧会のカタログやプレスリリースの執筆など、日によって変わる。この日の予定は、アーティストのスタジオを訪問すること。

 PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE スペシャルプロジェクト

絵描きだった大叔父のアトリエで、制作している彼を見ているのが大好きな子どもだった。
眼の前にあるさまざまな道具、絵具、筆から芸術作品が生まれていく。
魔法を見ているのと同じだった。
当時の心の震えは、今もエレーヌが仕事に向かう原動力になっている。
芸術を体験する感動を多くの人に届けること、創作する人のそばにいる仕事につくことを、十代のときに心に決めていた。
そんな彼女にとって、スタジオ訪問は大切な時間だ。アーティストに会えることを光栄に思いながら、わくわくした気持ちで出かけていく。

フランス人と日本人のアーティスト・デュオ、K-NARF & SHOKOのスタジオは東京の都心のビルの8階にある。
桜を撮影した大型作品は軽やかな手作りの額に納められている。写真の表面の光沢が特徴的で、それはプリンターで出力した写真を透明な粘着テープに手作業で転写しているから。
汎用的なカメラとプリンターを使い、テープに手作業で転写することで、すべての作品はデジタルとアナログ、過去と現在と未来、現実と想像、研究と遊び心が混ざった一点ものになるのだ。彼らはこの技法を「TAPE-O-GRAPHY / テープ・オ・グラフィー」と名付けている。

エレーヌはK-NARFと長い付き合いで、2009年に一緒にプロジェクトを行なったことがある。京都で撮影された桜の写真を見ながらエレーヌが言う。
「これを見るのは初めて。“HATARAKIMONO PROJECT”と同じテープ・オ・グラフィーのテクニックを使っていても、まったく違って見える!」
K-NARFは桜を撮影した10カットからさまざまなサイズの作品をつくる過程を話す。一昨日まで滞在していた香港での展覧会や撮影について話す。
作業着の人々のポートレートを撮影する「HATARAKIMONO PROJECT」のこと。
香港での撮影の苦労。
将来の計画。
止まらない。時折エレーヌが質問する。K-NARFが答える。SHOKOが補足する。3人の会話はいつまでも弾んでいる。

 PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE スペシャルプロジェクト

エレーヌは長年のPLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE 愛用者だ。
「とにかくたくさん持っています。数えたことはないけれど」
パリの自宅から東京にも持ってきた。
「色と形を組み合わせて着るのが好きで、いつも新しい組み合わせを考えている。もちろん仕事にも着ていくし、その後にオープニングやディナーやパーティがあっても家に戻って着替える必要がなく、そのまま着ていける。旅行にも。プリーツ プリーズは、アクセサリーを選ぶだけでどんな場面にも対応できる最高の服。私が今まで見つけた中で最も万能な服。とても気に入っている。そしてこの軽さは、私にとって自由と同義語です。そんな服はほかにありません」

この日はPLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE BASICSの黒いドレスを選び、NEW COLORFUL BASICSのライトグリーンのカーディガンを羽織った。
友人のデザイナーがつくったボリュームのあるネックレス、IKKO TANAKA ISSEY MIYAKEのバッグ、カラフルなソックスを加えて、彼女らしく。

着るひと:エレーヌ・ケルマシュテール
(スタイリングも本人による。アクセサリー、バッグなどの小物はすべて私物)
撮影:原田教正
ヘア&メイクアップ:不破裕幸
構成:原田環+中山真理|カワイイファクトリー
コンセプト&ディレクション:北村みどり

PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE BASICSと
NEW COLORFUL BASICSについて

基本的な形にプリーツをかけた衣服は、豊富な色のバリエーションを組み合わせて誰もが楽しんで着ることができることから、三宅一生によって「プリーツ プリーズ」(人を喜ばせるプリーツ)と命名され、1993年にブランドとして誕生しました。
着用の汎用性と洗濯や収納、携帯性といった生活の簡便さを兼ね備えた、プロダクトとしての衣服。あらゆる人の日常に寄り添い、着る人を自由にします。
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE BASICSと新たに加わったNEW COLORFUL BASICSが、時代とともに進化しながらも、ブランド誕生時のプリーツ プリーズの原点を継承していきます。