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TWISTED THREADS – The making of KARAMI

KARAMI

からみ織りのルーツは魚網にあった。
海風に包まれ、川のせせらぎに寄り添い、深い井戸の水に育まれた風土。
そして、無数の撚りをかけた糸が繊細に絡み合いながら、空間と光、そして風を織りなしていく。
日本の織技法「絡み(からみ)」の美しさ。撚りをかけたタテ糸にヨコ糸を絡ませ交差させることで、通気性がありながらも凛とした張りを持ち、やわらかな伸縮性を感じさせる独特の質感が生まれる。
HaaTは、このからみ織りの可能性を、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、古くから織物文化が息づく遠州の三代続く機屋とともに探求している。
絡み——それは、「交わり」「絡み合う」ことを意味する。その名の通り、この技法の発見もまた、偶然が織り成したことだった。
漁師の家系に生まれたこの機屋は、もともと漁網を作っていたが、やがてふきんやカーテン、蚊帳といった、暮らしに寄り添う織物へと広がっていった。
からみ織りの独自技法が生まれたのは、ある日、新しい布を織り上げたときのこと。試しに熱湯で洗ってみると、強く撚りをかけた経糸と緯糸が思いがけず縮み、独特の風合いが生まれた。この偶然の出会いが、新たな扉を開いた。伝統の技と現代の感性が響き合いながら、織物は幾度となく磨かれ、その表情を深めていった。

秘訣は職人の手。工程では、3,000本以上の経糸を正確に揃えることが求められる。わずかな誤差も許されず、一本一本が完璧な位置に配置されなければならない。織り手たちは、機械が発するわずかな音や振動の変化を敏感に感じ取り、直感的に異常を察知する。
このものづくりは、豊かな自然と調和しながら進んでゆく。井戸から汲み上げた澄んだ天然水は、夏は冷たく、冬は温かい。井戸水を使うことで、工房内の湿度を適切に保ち、糸切れを防ぐ。

KARAMI

仕上げには、100%コットンの先染め糸を使い、シルケット加工を施す。これにより、からみ織り独特の軽さと通気性、適度な伸縮性を持つネットのような生地に、さらにハリとコシを与える。
HaaTとからみ織りの対話の始まりは、数十年前にさかのぼる。1980年代、HaaTのトータルディレクターである皆川魔鬼子は、この織物を「ボイルメッシュ」と名付け、イッセイ ミヤケのブランド「PERMANENTE」で初めて採用した。
今回のHaaTでは、からみ織りの技法をさらに進化させ、ギンガムチェックやストライプ柄に挑戦。新たな表現の可能性を広げた。生まれたのは、トップス、ワンピース、パンツの特別なアイテム。白、緑、青の繊細な色彩で織り上げられている。
日本のからみ織りの伝統を、モダンかつタイムレスな表現へ。軽やかで凛とした質感、やわらかさと弾力、構築的でありながら流れるようなフォルム。それぞれのピースには、織りの奥深さと、空間を織るという職人の美意識が息づいている。

KUMOSHIBORI

KUMOSHIBORI

愛知県名古屋市有松町・鳴海町地域で作られている木綿絞りの総称、有松絞り。江戸時代の初期、東海道を行き交う旅人にお土産として絞りの手ぬぐいなどを販売し、栄えたのがはじまりだ。以来、有松絞りは布を締める・縫う・括るなどの様々な方法によって、100種類以上もの絞り模様を量産してきた。そんな絞り模様のひとつである「蜘蛛絞り」は、最も一般的な絞り柄として知られている。

KUMOSHIBORI

蜘蛛絞りは布の一部を手で括り、染色する。染色後に括った部分をほどくと、模様が蜘蛛の巣状になるが、HaaTでは括られた状態の絞りに着目。その美しく、有機的なフォルムを衣服に記憶させてみたい。こうして生まれたKUMOSHIBORIは、ポリエステルの形状記憶性を応用し、絞りの突起をデザインに取り入れている。

今ではHaaTの定番シリーズとなったKUMOSHIBORI。小さな蜘蛛絞りの突起が、今日も衿元、裾を愛らしくデコレートし続けている。

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