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Episode 3

“Protein Revolution #1”

by Kazuhide Sekiyama (Spiber)

この素材は間違いなく、100年後の人類や社会、地球のためにあります。Spiberの「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」。植物に含まれる糖分を原料に、微生物の発酵プロセスと、遺伝子工学やバイオテクノロジー、材料工学など先進的なテクノロジーをかけあわせて、構造タンパク質素材を生成する。それを用いた繊維が糸になり、布になり、いま着実に社会へ実装されつつあります。環境分解性があり土地や水の使用量も大幅に減らせるため、従来の石油由来や動物由来素材に比べ、環境負荷を大幅に低減できるサステナブルな衣服の素材ではありますが、代表の関山和秀の視線は、はるか先まで拡がるのでした。食料、農地、水、わたしたち人類の未来の暮らし。デザイナーの宮前義之との対話は長く続くことになります。

Episode 3

日本屈指の米どころとして知られる山形県の庄内平野。北西は日本海。そのほかは鳥海山や出羽山地にぐるりと囲まれ、最上川や赤川、そして江戸時代より開削が始まった灌漑事業によって、豊かな水が隅々まで行き渡り、美しい田園が拡がります。そのようなのどかな風景のなかに、鶴岡サイエンスパークはありました。

2001年に山形県鶴岡市が誘致し、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開設。以来、世界最先端のバイオテクノロジーの研究や開発が行なわれており、多くのバイオベンチャーが誕生しています。Spiberもそのひとつ。同研究所に所属し博士課程在学中だった関山和秀氏が、2007年に仲間とともに設立したのが始まりです。

在学中より始まったクモの糸の人工合成のための研究は、やがてより多様な性能にフォーカスしたタンパク質のDNAの解析や設計へとつながり、微生物発酵を活用しながら、世界初の人工タンパク質素材の量産化を成し遂げました。それがブリュード・プロテイン素材です。

現在も領域を横断した研究を鶴岡で行ないながら、22年より稼働を開始したタイ・ラヨーンの工場では繊維の原料となるポリマーの量産を開始して商用利用に向けた一歩を踏み出し、さらにアメリカでもより大規模なプラント建設に向けた準備が進んでいる。しかしそれでもなお関山氏は「まだまだスタートラインを切ったばかり」なのだと断言します。それはどうやら謙遜などではなくて、ファッションという一産業や日本という国境を超えた、壮大な目標が明確に描かれているからでした。

Episode 3

──「ブリュード・プロテイン」という精密に合成されたタンパク質で繊維をつくるという技術は、世界でSpiberだけがもつものです。これによってつくられる環境分解性の糸や布は、製造プロセスにおいても著しく環境負荷が抑えられるなど、多くの可能性をもつわけですが、最大の価値というのはどのような点にあると考えていますか?

関山和秀(以下、関山) さまざまなレイヤーがあり、それぞれで変わってくるのですが、最上位のものですと、地球の消費と農地の問題を解決する手段になり得るということです。世界中で人口が増え、消費が増え続けているなかで、これからさらに農地を大規模に拡大していくことはかなり難しい。むしろ優良だったはずの農地は、気候変動によって減ってしまっています。

一方で、いまの世界の人口のおよそ85%は、新興地域や発展途上の、場合によっては貧困の地域だといわれています。その85%の人たちと、私たちのような先進地域の15%の人々の消費量を一人当たりで比較すると、素材やエネルギーなども含めて概算で3〜5倍くらいを消費しています。新興国や発展途上国の人たちも、先進国のようなある種の豊かな生活を目指されていると思いますし、そのために仕事に励んだり開発を進めたり、それぞれがすごく頑張っている状況なのだと思います。

つまりこれからどんどん発展していき、消費も激増していくことは明らかです。つまり世界の85%の人たちの消費が、これから3〜5倍も場合によっては増えようとしているということ。果たして、それをいまの地球上の農地だけでまかなうことができるのかというと、かなり厳しいことは明白です。農地を3〜5倍に増やすなんて到底無理ですし、単位面積当たりの収量を3〜5倍に増やすのも簡単ではない。

この問題に対して、私たちが植物由来の糖類を原料に微生物発酵によってプラントでつくるタンパク質が鍵を握ると考えているんです。アパレル用途の繊維素材としてもそうですが、食糧生産への活用も見据えています。人間や家畜が生きていくうえでタンパク質は必要不可欠で、地球上にある農地を拡げることなく、どうしたら2倍、3倍、4倍、5倍と生産量を増やすことができるのか。現在は主に農作物由来の糖を原料としていますが、今後、未利用のバイオマス資源を微生物の栄養源にしてタンパク質を生産していくことができれば、確実にそれに貢献できるはずですから。

──つまり農地を拡げるのではなく、テクノロジーによって微生物の力を活用してタンパク質をつくり、それを次なる資源とする。原料の調達や生産効率が問題になりますね。

関山 いまの地球上に、未利用のいわゆるバイオマス資源は膨大に存在しています。例えばトウモロコシやサトウキビなどは、実際に人が食べる部分がすごく限られてるわけですよね。農業残渣がとても多い。日本ならお米がそうですし、杉林の間伐材だけでも年間で何百万トンもあります。つまり捨てられてしまっているものを資源として活用することができれば、それは地球規模なら何十億トンというスケールになります。

農業は集約的に行なわれているので回収もしやすく、農業残渣はとてもアクセシブルな資源だといえます。しかしそこから大規模に食糧や素材をつくろうとしても、これまではなかなか難しかった。ほとんど有効利用されていませんでした。だから私たちがその未利用の資源を活用して、食糧や質の高い素材につなげていく。そうやってパイプを増やしていけたら、農地を増やすことなく有用で持続可能な素材を大量に生産することができます。

宮前義之(以下、宮前) すごいですよね。関山さんのお話を聞いていると、視野とスケールがどんどん拡がっていきます。地球規模の問題を解決する技術になりうるということですから。

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関山 これは間違いなく、50年後、100年後の人類に必要な技術だと思います。基礎は確立できていますが、重要なのは何十億もある残渣から、いかに効率よく素材生産につなげていけるか。可能な限り効率よくつくり、無駄のないようにする。母数が大きいので、効率を高めるほどに生産量も増えていきます。

その点、最も効率がいい方法は、やはり生物、特に微生物の力を利用することです。微生物はとても小さい工場みたいなもので、しかもすごく優秀です。食べさせたい残渣を食べて栄養にできるものと、そうではないものがいますし、タンパク質をたくさん生み出せるものもいれば、そうでないものもいる。それぞれ組成が違うためですが、遺伝子工学などバイオテクノロジーの最先端の技術を活用すると、食べられる残渣の種類を増やしたり、食べさせたい残渣に合わせた最適な代謝を設計することができます。

宮前 なるほど。微生物の遺伝子をデザインすることで、結果的に生産の効率をどんどん向上させていくことができるわけですね。

関山 はい、できます。タンパク質のデザインという点で面白いのは、DNAはいま完全にデジタル情報になっているということです。つまり「こういうタンパク質をつくらせたい」と考えたら、コンピューター上でこのアミノ酸をこういう順番でつなげたらこうなるんじゃないか、というように設計できます。20種類のアミノ酸それぞれに対応する塩基配列のブロック(コドン)があり、それをどのような順番で何個組み合わせるかによって、合成するタンパク質を自在にデザインできるわけです。

例えば、食肉のようなタンパク質も獣毛のようなタンパク質も、すべてプログラム化されているんです。なので私たちは微生物につくらせたいタンパク質をコーディングして、その情報をDNAに書き込み、微生物にその情報媒体をインサートしてあげる。そうするとその設計図通りに精密に、微生物が目的のタンパク質をつくってくれるんです。彼らが食べる原料が変わるなら、それに合わせてコーディングすることもできる。小さな工場として、精密かつとても効率よく材料をつくってくれる。微生物はそういうものなんです。

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──まるで夢のようなテクノロジーですが、なぜそれが可能になったのでしょうか?

関山 アイデアは昔からあったのですが、技術的にとても難しかったのです。いつかそういう時代が来ると想像していた研究者はいると思いますが、例えば核融合のように、ヴィジョンとしてはあるけれど、実際に技術を開発して完成させる、というような時代がこうして目の前に出現する、ということまでは考えられてきませんでした。

私たちも研究を始めた当初はそう思っていましたが、特にバイオテクノロジーやデータサイエンスの計算機のリソース、基盤技術などが、近年になって加速度的に進化していきました。つまりできることが指数関数的に増えていった。想像していたことが、急速にできるようになってきています。かつてでは考えられないような効率で、微生物を活用した素材生産が可能になってきている。

例えば、私たちのラボではベッセル(ガラス容器)のなかで微生物を培養していますが、10リットルほどの容量のベッセルがあれば、理論上、24時間でカシミアのセーター1枚分、250gほどのタンパク質を生産することができます。あるいはヒレステーキのタンパク質の含有量は重量のおよそ20%くらいで──ちなみに脂質がおよそ5%、残りは水分ですが──、10リットルの容器からは24時間で1.2キログラムのステーキと同量のタンパク質が合成できます。

つまり、微生物の活用はとても効率がいいということです。これまではセーターを1枚つくるには、カシミヤのヤギを2〜4頭も1年間近く育てて毛を刈る必要がありました。食肉用の牛1頭となると、それなりに大きな量になりますが、出荷するまでに最低でも18カ月、和牛では30カ月近くを要します。1頭からとれる牛肉(約200キログラム)に相当する量のタンパク質が、大型の家庭用冷蔵庫と同じくらいの培養液容量のタンクがあれば、3日ほどで生産できてしまう。基盤技術は確立できているので、スケールアップも難しくありません。ラボのサイズの100倍、1000倍ほどのサイズのタンクはすでにありますし、タイの工場ではさらに大きなタンクが実装され、最大生産能力でいえば年間500トンの生産が可能です。

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宮前 すごいスピードで進化していますよね。容量が増えても、タンパク質の合成のためにタンクの中で働くのは微生物だけ。だから広大な土地も膨大な水もいらないし、高効率に大量に生産できるということですよね。ちなみに、微生物が最も活性しやすい状態を維持するのは難しいですか?

関山 はい、大変です。いわゆる精密発酵といって、いま注目を集める技術分野でもあります。いままでの発酵、例えばチーズやお醤油は、その土地の風土とともにあるような、しばらく放置しておくものでした。けれど私たちがやっていることは温度、pH、酸素濃度など、微生物の成長に必要な成分や要素をかなり精密に管理する必要があります。温度は1℃単位ですし、多様なパラメータを、それぞれセンサーを使ってモニターし、フィードバックをかけながらコントロールします。

どのパラメーターをどのように変化させると、生産性にどのような影響を及ぼすのか、膨大な実験を重ねてデータを蓄積していきます。それを極限まで突き詰めて、単位容積、時間当たりの生産性を最大化していく。そういう研究を続けています。それによって例えば1〜2%の効率がよくなるだけで、その後の結果が大きく変わってくるからです。

地球規模で考えたとき、その経済的な価値はたった1%でも、億兆というスケールの差が出てきます。なので私たちはその未来を見据えて、いまからその効率化の部分にとても労力をかけ、投資も行なっています。

──精密発酵というお話がありましたが、その前段階の遺伝子の設計の領域でも精度は高まっていますか?

関山 そうですね。遺伝子を解析する技術もそうですし、DNAを編集する技術も、ここ10年間くらいでとてつもなく高度化しています。微生物を改良していく際にもいろいろな要素技術が必要です。例えば、多様に組み合わせて設計したものをコンビナトリアルにたくさんつくり、そのなかで有望な微生物だけを効率的にセンシングしてリアルタイムに取り出す。そういったスクリーニングの技術もかなり高度化しています。

──遺伝子工学や微生物学の世界的な進化が、Spiberの研究にも寄与しているんですね。

関山 その通りです。自分たちで開発した技術もたくさんありますが、Spiberにいる研究者や開発者たちはみな、新しいものに感度や関心が高い人が多いので、新しい技術開発の情報を入手すると、それを自分たちの技術やプラットフォームに応用できないかと考えたり、実践してみたりしますし、実際にそれが功を奏することもしばしばあります。それに大学の研究室などともたくさん共同研究をしていますから、最先端のアカデミアの人たちとの共創のなかから生まれてくる技術もありますね。

Episode 3

──遺伝子の設計、微生物によってタンパク質を合成する精度。どちらの面も進化を続けている。ということは理論上、たとえばビキューナよりも細く長い繊維をつくることもできますか?

関山 はい、もう実現できています。私たちの素材は、高級獣毛のような素材領域では特に有力なオプションになります。繊維のようなものをつくるのは、ある意味ではハードルがとても低いんですね。一方で食糧や医薬品という領域はとても時間を要します。安全性の試験が必要だし、特に食糧となると日本では法的にもさまざまな制約があって、研究開発はできても実装するとなると現状では国内だとかなり難しい。私たちがつくるような新しい素材を食品として承認するための仕組みや法律の改正も必要になってきます。

けれどいつか絶対にそういう時代は到来するはずです。例えばアメリカやシンガポールではそういう法制度についても既に議論されていたりするし、仕組みも整い始めている。まずはそういうところから実績をつくっていく、という考え方もあります。

宮前 ということは、食糧の研究もされているんですね。衣食住の観点からバイオミートにもとても興味があります。

関山 実はかなり精力的に行なっています。研究はだいぶ進んでいて、成果もでてきています。私は実際開発の中で何度も試食していますが、ちゃんとお肉、という感じです。そもそも筋肉はタンパク質の繊維なので、アパレル素材開発の知見も生きています。

ほかにも例えば抗生物質をつくるような巨大なたんぱく質の研究開発も進めています。もともとはカビがもっていたりするのですが、そういったタンパク質はとても秩序立っていて繰り返し配列を多く含み、遺伝子の合成が難しいとされていました。一方で私たちのDNAを合成する技術は、デジタルデータを活用して秩序立ったコーディングをすることが得意なので、同分野にも貢献できると考えています。

──開発領域はテキスタイルから食糧、さらに医療へと拡がっているのですね。

関山 抗生物質は見つけるのが大変なのです。おそらく2000年以降で7、8個くらいしか見つけられていない。一方で医療現場はもちろん、畜産業でも抗生物質はたくさん使われています。その反面、抗生物質耐性菌が出てきてしまうという問題があります。それまで投薬によって治せていたような病気だったのに、突然、薬が効かなくなり重症化したり死に至るようなことが起きてしまう。少し前に英国政府がリリースしていたのですが、2050年の人類の死因のトップは、抗生物質耐性菌によるものになるのではないか、というくらい深刻視されていたりもします。

抗生物質のもとになるような物質を生産するカビ自体は、空気中にも土の中にもたくさんいます。けれどラボで培養して増やそうとすると、実際に単離できてフラスコの中で培養できるのは1%ほどといわれています。つまり99%の菌はラボの中で増やせないし、その理由はいろいろあって特定が難しい。一方で、菌のDNAを解析する技術はとても高度化していて、DNAを取り出してひとつの分子ずつ、すべて読むことができる。

そうやって環境中にいる生物全体のDNAライブラリみたいなものを構築していく。そうすると既知のものとは少し違うが、非常に似ている配列、つまり相同的な配列がたくさん見つかってきます。つまり「これは増やせないけど、おそらく抗生物質をつくる遺伝子ではないか」、というようなことが解析によってわかってくるんですね。

そうやっていまでは何十万個という菌のDNA配列がわかってきて、これをもとに生産に適した微生物に対してDNA配列を最適化して合成し、実際に化合物を生産させてみる。これからはそうやって設計したDNAをつくり、何十万種、場合によってはもっとたくさんですが、それらを高速にスクリーニングして評価していけば、これまでのスピードよりも圧倒的に速く、さまざまな薬の候補となるものを見つけられるかもしれません。

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──タンパク質というのは想像以上に奥深く、すそ野の広い技術であることがわかります。このような可能性を前にして、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEではどのようなものづくりへとつながっていくのでしょうか?

宮前 私たちにとっては完全に未知の領域で。ワクワクします。世の中には様々な種類の素材が存在し、それぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、私たちがよく使うポリエステル素材は、石油由来のため、環境問題の観点から様々な課題が取り沙汰されています。しかし、素材として改めて見つめ直した際に、優れた機能性や耐久性といった特性があり、今後も主要な素材だと思います。一方で、このブリュード・プロテイン素材は、従来の素材とはまったく異なる可能性を秘めています。なにしろ遺伝子の設計や微生物の働きによって、完全に新しい繊維をつくることができるのですから。これまでにない機能性や付加価値を自在に付与することができるはずです。

いままでA-POC ABLEでは糸をつくる紡績からものづくりをすることもありましたが、仮にこの合成タンパク質素材のオーダーメイドがいつか実装されたら、原料の設定から関与できるようになります。原料からテキスタイルまでの一貫したデザインのプロセスによって、何かとてつもないものづくりの可能性が拡がっていくように感じる。つまり、私たちにとって大切な「一枚の布」の可能性をさらに発展させていくことにつながります。

思い返せば、三宅一生がものづくりを始めたのは高度経済成長期で、オートクチュールから既成服へと移行し始めた頃でした。つまり人々がファッションをより自由に着るようになった時代です。そこからさらに天然素材から化学繊維への移行があり、時代とともにさまざまな変遷がありました。きっと、Spiberのブリュード・プロテイン素材というのは、それらと同じように時代のフェーズを変えていく圧倒的なパワーをもったものだと思います。

ですから、A-POC ABLEやイッセイ ミヤケという立場からだけではなく、この社会に暮らすひとりとして、本当に応援したい素材であり挑戦です。恐ろしいことですが、これからますます気候変動が厳しくなることは避けられないとも感じます。そのようななかで、従来の考え方を大きく変える新しい仕組みや技術が必要だと思うのです。関山さんの未来を見据えた明確なビジョンと、Spiberの卓越した技術によって、社会に山積する課題を解決し、不確実な時代に希望と変革をもたらしていくと信じています。そして私たちができること、つまりデザインの仕事を通して、この社会の大きな課題と向き合っていきたいと思っています。できることから一歩ずつ。

関山 そういう点でいうと、タンパク質の合成によって社会は変わっていく、ということは確実に実現すると思っています。ですが、それを私たちが成し得るかというと、最後までやってみないとわからない、という感じです。

研究開発を始めてから、培い向上させてきた技術的な精度や蓄積にはかなり自信があるので、当初よりもいまでは格段に「人類は絶対にタンパク質合成によって社会を変え得る」という確信があります。一方で、例えば現実的な話をすると、資金繰りがうまくいかなければ成し遂げることはできません。なので、私たちができるかどうかはまた別の問題ですが、もし仮に私たちがうまくいかなかったとしても、それに続く人たちが私たちがそれまで蓄積してきた技術やノウハウを活用し、時間の問題でやり遂げてくれるだろう、と確信しています。

Spiberとブリュード・プロテイン素材をめぐるふたりの対話はまだまだ続いていきます。#2では、未踏のテクノロジーとその実装を実現するために、いかなるブレイクスルーを果たしてきたか、どのようなチームを形成したのか、そして未来の可能性について語っていきます。

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KAZUHIDE SEKIYAMA

関山和秀 Spiber株式会社 取締役兼代表執行役/共同創業者。1983年東京都生まれ。2001年4月に慶應義塾大学環境情報学部入学。同年9月より同大学先端生命研究所長の冨田勝研究室に所属。2002年より鶴岡市に拠点を移し、クモ糸人工合成の研究に従事。2007年9月、博士課程在籍中に、学生時代の仲間とともにスパイバー株式会社(現 Spiber株式会社)を設立。持続可能なwell-being、循環型社会の実現に向け、人工構造タンパク質素材「Brewed Protein™」の産業化を推進する。


次回のEpisode 4では“Protein Revolution #2”についてお届けします