WEAVING NATURE - The making of MORI

春の萌葱色。夏の新緑。
そよぐ風。樹々の香り。差し込む柔らかな日差し。
森からインスピレーションを得たテキスタイルは、織物の職人技と革新的な技術、そして自然の純粋なエッセンスを融合させて生まれた。樹々の葉脈をイメージした柄を千鳥状に入れたジャカード織りは、緻密なテクスチャー、複雑なパターン、レイヤーといった森のエッセンスを思わせる、独特の立体的な表面が特徴だ。さまざまな濃度の緑色を構成する自然界に、テキスタイルの広がりや感動を見出す。
MORIはHaaTのジャカード織りシリーズの最新作。この複雑な織りは、縦糸と横糸を2方向にカットすることで生み出されている。2000年のブランド創設以来、HaaTはこの技術を駆使してきた。
物語は飯能市から始まる。埼玉県の秩父山地の東端に位置するこの自然豊かな地域は、千年以上にわたって林業、山々、織物の伝統を育んできた。その地理的条件は重要な要素となっていて、周囲の山々、川、湖から自然の地下系を通じて流れ込む、豊富で純粋な湧き水が、地域を潤している。
この自然美を背景に、HaaTは長年にわたって職人たちと協働を続けてきた。職人たちは、手仕事とテクノロジーの絶妙な調和を追求し、繊細な手技と革新的な挑戦を融合させている。それは、ジャカード織物のパイオニアであるドイツ製のドルニエ織機をベースに、伝統的な手作業で仕上げるという先進的な手法にも反映されている。
MORIの抽象的な柄の深みと複雑さを表現するため、製作工程では多様な糸が使用されジャカード織りが施される。タテ糸とヨコ糸は両方向にカットされ、豊かな立体感を持つ緻密な質感のテキスタイルが生まれる。ゆっくりと、忍耐強く、細やかに気を配りながら、職人が手製の道具を手作業で活用しテキスタイルの表面を仕上げていく。HaaTと工場との直感的な対話を通じて、職人たちはテキスタイルを軽くする工夫をし、パンツやジャケット、ドレスとして心地よく着用できるように調整を行う。
こうして密度と軽さ、森の有機的な美しさと時代の超越を秘めたテキスタイルが生まれた。