SAZANAMI
さざなみ。
繊細で、静かな、柔らかい存在。
水面にゆらぐ波紋の情景。
HaaTの「SAZANAMI」は、テキスタイル、陶芸、自然が響き合い、手描きの筆跡を重ねた奥ゆきのある生地が特徴のシリーズ。風が水面にそっと波紋を生む情景が語源で、粘土にマーブル模様を生み出す陶芸の練り技法の名称でもあり、水のゆらぎを想起させる。
テキスタイルにも映し出された、さざなみの表情。一点一点、京都の職人による手仕事で「しけ引き」と呼ばれる専門的な染色技法によって生まれた、幾重もの色と繊細な線の重なり。無数の刷毛の動きによる、静かな揺らぎ。
軽やかさと奥ゆき。やわらかさと芯の強さ。遠目には印象派絵画のようにかすみ、近づくことで立ち現れる、刷毛の跡や色の濃淡が際立つ繊細なレイヤー。4つの主要な色彩による、深みのあるテキスタイル表現。
ものづくりの舞台は、京都の工場。トップス、シャツ、パンツ、ワンピースに宿る、静かな存在感。ベースの生地には、色の重なりを美しく際立たせる、やわらかな白のオーガニックコットンローンを使用している。
職人による染料の調合。長い作業台に広げられた生地。そこから始まる、繊細な染めの工程。特別に改良された道具を手に、一筆ずつ重ねられる染料。白い生地の上に幾層にも重なる、軽やかで繊細な縦の筆致。熟練した人の手から生まれる、不均一で有機的な美しさ。
まるで自然界に通じるように、手仕事の精神でつながりながら服のフォルムに合わせた2種類の縦柄は、一つ一つ特別な個性を持つ。
それはテキスタイルの革新と、人の手によるものづくりの調和から生まれる、静かな“さざなみ”の余韻を宿した衣服。
TENMOKU COTTON
斑点状の粒子。不規則で奥行きのある佇まい。
古来から伝わる天目茶碗の、時を超えた静謐な美しさ。
陶芸と衣服。堅牢なものと、しなやかなもの。そのふたつの世界から、不完全さや素材感を大切にしたHaaTの新しいTENMOKU COTTONは生まれた。
着想源は、12世紀に中国から日本へ伝わった天目茶碗。高温焼成と鉄分を含んだ釉薬によって生まれる深い色合いと、偶然がつくり出す斑や流れ。その静かな奥行きある表情を、衣服へと写し取った。天目陶器の持つ、完全ではなく、有機的で、不均一、そして豊かな質感美に着想を得て、特別な二段階仕上げ加工が開発された。
その融合は、素材づくりから始まる。テキスタイルには、綿繊維を弾力のあるポリウレタン芯で包み込んだ糸を使用。経糸・緯糸の両方にこのストレッチヤーンを用い、配合比率を変えながら織り上げることで、テクスチャーの奥行きと表面の不規則性を生み出している。
トップ、ジャケット、スカート、ワンピースといったアイテムに縫製された後、染色を施すと同時に独自の表情を引き出す。さらに、天目の持つ微妙な奥行きを映し出すために表面ブリーチ加工を加えることで、繊細な濃淡が生まれる。
こうして完成した衣服は、抽象的で柔らかく彫刻的な、唯一無二のテクスチャーを纏う。生地には、淡いベージュ、ブラウン、ブラックといった層状の色調が染み込み、土壌の移ろう色合いを想起させる。
手仕事の精神と、自然がもつ制御不能なエネルギーに根ざし、ひとつひとつが決して同じにならない―それは、まさに天目陶器と同じだ。
新作TENMOKU COTTONシリーズは、HaaTの26SSに向けたより大きな創作研究の一環として位置づけられている。その研究は、日本が誇る「生きた陶芸・磁器の遺産」をテキスタイルへと翻訳する試みだ。数百年の時を経て受け継がれてきた国宝級の名陶から、無名の職人たちが日常のために作り続けてきた民藝の器に至るまで。
土、顔料、釉薬、色調、模様、技法。
HaaTは形を超え、触れ、見つめ、共に生きることのできるタイムレスな美しさに根ざしたつながりを織り上げていく。













