OPEN STUDIO
Pitti Immagine Uomo 108, 2025
EXHIBITION
HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEのものづくりは、総合的な研究開発に基づいています。そのプロセスは、あるイメージ、アイデア、あるいは現象といった対象を観察して調べるところから始まります。そしてそこから発見されたものを多角的に扱い、服づくりに通ずる語彙として捉え直すことで、発見と実践のプロセスが繰り返されます。
このプロセスの中では、その探求性に富んだ性質ゆえに、予期せぬ、あるいは意図しない要素が姿を現すことがあります。こうした偶然の発見は、創作の種となり、いくつものスタディを通じてさらに発展し、やがて現代の生活様式のためのプロダクトとしてかたち作られます。
本展「Amid Impasto of Horizons —積み重なる地平—」では、同タイトルの2026年春夏コレクションにおける研究開発の軌跡を辿るとともに、会場の一面に風景を描き出すような、プリーツ素材による作品群を展示し、その独自の技法のまだ見ぬ可能性を提示します。
空間全体を巡る大きな円環に並ぶのは、フィレンツェを含むイタリアの都市で行われたフィールドワークによるスタディで実際に使用したアイテム。コレクションにおける色彩、素材、衣服の制作プロセスごとに紐解きます。
その円環の周りには、コレクションの枠を超えた彫刻のようなオブジェが点在し、プリーツ素材の形態が持つ特性を掴もうとする、実験的な習作が展開されています。そこには、プロセスの中で見出だされた、偶然的で、儚い美しさが表れています。
本展のタイトルが示すように、本コレクションは、完成に至るまでに積み重ねた研究開発のプロセスそのものを反映しているものであり、創作の過程における予測不可能な要素も認め、活かしていく、ものづくりの姿勢の表出でもあります。その層と層の間に描かれた見渡す限りの地平は、過去の経験をこれからの実践へとつなぐものとなるでしょう。
エキシビション・ディレクターからのメッセージ
「今回のコレクションはリサーチのプロセスがキーとなっていますが、エキシビションにおいてもHOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEのデザインチームと三澤デザイン研究室が協働し、制作過程をともにしながらつくり上げてきました。普段マテリアルとして布地を扱うことが少ない私たちにとって、プリーツ生地はかたちを自在に変容する魔法のようなマテリアルで、その自由性に夢中になりました。覆う、被せる、巻く、折る、重ねるなどの素材に無理のない自然な手法から生地のなりたいかたちを探求した展覧会です。」
日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
三澤 遥