2025.06.27 | IM MEN SPRING SUMMER 2026 COLLECTION
IM MENは6月26日(木)、パリ14区に位置する、カルティエ財団現代美術館(※)の所在地、ジャン・ヌーヴェル建築にて2026年春夏コレクション「DANCING TEXTURE」を発表しました。
本コレクションはIM MENデザインチームと、独自の造形美を目指した陶芸家・加守田章二氏の作品との出合いを起点に制作が始まりました。彼の創作物を衣服にして纏いたい、そんな純粋な思いを形にすることを、一心に追い求めたコレクションです。加守田氏との静かなる対話を繰り返すなかで呼び起こされる感覚を増幅し、衣服として表現しています。
「一枚の布」というフィロソフィーは、加守田作品が見せる複雑で多面的な質感と融合し、多様な糸や織りの構造、先端技術を駆使して作り出した重層的なテキスタイルを生み出しました。布そのものが大胆に配置された会場では、それらと一体化するように動くパフォーマーが登場し、まるで布が生命を得たかのように、躍動し始めます。
※パリ市内で新施設への移転準備のため、現在は閉館。

加守田章二(1933-1983)
現代日本陶芸に多大な足跡を残した陶芸家。大阪に生まれ、京都で陶芸を学び、益子や遠野を拠点に創作活動を展開した。数々の独自技法により、伝統の枠組みを超えた形態と意匠の可能性を追求し、陶芸の表現領域を大きく切り拓いた。およそ20年という限られた作陶期間に生み出された、挑戦的で自由な作品群は今なお鮮烈な存在感を放ち、多くの作り手に深い影響を与え続けている。

UROKOMON
鱗のような文様をテキスタイルで表現するため、ボンディングオパール加工という技法を採用しました。貼り合わせた布地に緻密で高度なプリント技術を応用し、上の綿布地の指定部分に特殊な加工を施します。水洗いをすると、指定部分の布地が剥がれ、下地のプリント柄が浮き出て、加守田作品のような独特な表情と立体感のある質感が生まれます。ダイナミックな曲線と直線が融合する皿をフォルムのモチーフにした、羽おりやセットアップなどを展開します。

GINTO FLAT
純銀の顔料を用いた角鉢『銀陶』は、金属的な光沢を放ちます。その重厚な質感を、シルバー箔をのせたテキスタイルで再現。立体を平面に折りたたむ技術によるFLATシリーズをベースに、広げると角鉢を真上から見た、丸みを帯びた正方形になるコートやパンツを展開します。畳んだ衣服の表面に箔を施すことで、濃淡をつくり、『銀陶』のような微妙な揺らぎを表現しました。鋭いエッジの端正な表情を持ちながらも、手仕事の痕跡を残す作風に倣い、直線的すぎない自然なフォルムに仕上げています。

KAIYU
草木の灰を主成分とする灰釉(かいゆう)を使った『灰釉鉢』は、ほぼ白色の淡い青磁色と、露わになった土肌の質感のコントラストが印象的です。この独特な色合いと、鉢の内側に円を描くように現れる轆轤(ろくろ)目の文様を、顔料捺染によって再現。広げると円形になるブルゾンやパンツは、平らにして直接捺染しています。プリントは半身ずつ工程を分け、それぞれに異なる3つの版を重ねて、深みのある風合いを表しました。釉薬の艶感を思わせる部分には光沢を加え、土肌のような部分にはマットな質感を出し、コントラストを際立たせています。

ENGRAVE
作品群『曲線彫文』は、造形と一体となった波状の彫文が特徴です。自然に生じた皺のような文様は、緻密に計算されています。皿を真上から見た時の文様の広がりを、多色の糸を使いジャカード織機で織り上げました。ヨコ糸にストレッチ糸を混ぜ、側面が直角に立ち上がるように異なる織組織で構成。熱で布地を収縮させて彫文の立体感やエッジを表現しています。サスペンダー付きパンツ、コート、ブルゾンの3型展開で、左右対称の2本の曲線の切り込みに配したファスナーを閉めると、平面から立体の衣服が形作られます。

EARTH
マットな朱と白い波模様のコントラストが印象的な作品『彩色壺』は、白い線を描くのではなく、素地を残すように朱を彩色したもの。ざらついた質感が残る地の部分は、混じり合う土の粒子が光を乱反射します。この色と質感を再現するため、複数の糸を組み合わせて織り上げました。ヨコ糸には染色したブークレ糸にラメ糸を巻いたものなど、5つの異なる朱色の糸を使用。タテ糸には黒に白を混合し、壺と同様に裏側のみグレーに仕上げています。構造も模様に合わせて、正方形の身頃に波線状の切り込みを入れています。そこに配したファスナーを閉じて身頃と袖を形作り、大胆なフォルムを実現しました。

FISHING NET NYLON
日本で回収した廃漁網をリサイクルした素材を一部使用して織り上げた、ナイロン生地のシリーズ。風合いは柔らかくしなやかで、シワになりにくく、軽量でありながら高い耐久性を備えています。繊細な質感と、鮮やかなグリーンの発色も特徴です。廃棄される物に新たな価値を与えるこの素材は、持続可能なものづくりの姿勢を体現しています。継続的に展開しているWIND COATの形をベースにしたコートは、背面に大きな雨除けが付き、フードのジップを開けると襟のように変化させてスタイリングを楽しめるデザインです。

RESILIENCE
ポリエステル素材でありながら、自然な風合いをほのかに感じさせる生地を使用し、製品染めで仕上げたセットアップのシリーズ。肌離れの良い布地は、軽やかでシワになりにくいのも特長で、実用性が高く日常使いに適しています。ポケットやパンツの太さを変えるアジャスターなどの要所にテープ使いをして、意匠性と機能を両立しています。

ISSEY MIYAKE FOOT HYPER TAPING
MIYAKE DESIGN STUDIO(MDS)とASICS SportStyleは、フットウェアの共同開発プロジェクト「ISSEY MIYAKE FOOT」を始動しました。人間の身を包む「一枚の布」、という衣服への根源的な問いかけから発想し、現代の人々が真に必要とするものづくりを追求してきたMDS。そして、「スポーツを通じて人々の健やかな心身の成長を支えたい」という強い志のもと、長年にわたり知的技術を培い、革新的なフットウェアを生み出してきたASICS。この両者の創造性と技術が呼応することで、これまでにないフットウェアの創出に挑みます。
その取り組みの第一弾として誕生したのが、「HYPER TAPING」です。ASICSを象徴する、シューズの側面に配された交差するライン「アシックスストライプ」は、シューズの構造的な強度やフィット感を高めるために開発されたデザインです。こうした象徴的な意匠にさえ機能を追い求める姿勢に着想を得て、身体と衣服の関係を探求してきたMDS独自の視点から、ストライプをアスレチックテーピングのように足を包み込むデザインへと再構築しました。MDSとASICSの創造性と技術が結実した、新たなフットウェアの提案です。
本コレクションの全てのルックは以下のページでご覧いただけます。
6月28日(土)から7月1日(火)まで、パリにて特別展示を行います。「DANCING TEXTURE」と題した2026年春夏コレクションを通し、より多くの方々との交流の機会として本展を開催します。
会期: |
6月28日(土)ー 6月30日(月)10:00 ー 18:00 |
7月1日(火)10:00 ー 16:00 |
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会場: |
Atelier Vendome 38 rue du Mont Thabor, 75001 Paris |
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※入場無料(完全予約制) |
予約: |
予約フォームはこちら |
※外部サイトへ移動します ※予約フォームは仏語・英語のみの対応 |
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