第5話「蘇るワクワク」
私が生まれ育った家のすぐ脇には、
昔ながらの商店街があった。
揚げたてのコロッケがショーケースに並ぶ肉屋さん。
カラフルな瓶ケースを忙しそうに運ぶ酒屋のお兄ちゃん。
いつもニコニコ笑顔の白衣を着た薬局のおじさん。
いろんな店が軒を並べるなかで
一番のお気に入りは、文房具屋さんだった。
ペン、ノート、ファイル、テープ、カッター。
身近で手頃なものなのに、色やかたちなどバリエーション豊富で、
一つずつ何かしらの個性が潜んでいる。
眺めているだけで心がワクワクして
行くたびに新しいものと出合える秘密基地だった。
学校で必要な筆記具はもちろん、
流行ったキャラクターグッズも
就職が決まったときに揃えた仕事の道具も
すべてこの店で買ったものだ。
あれから何年経っただろう。
実家からは遠く離れて暮らすようになって
あのお店にはもう通わなくなってしまったけれど、
無類の文房具好きだけは変わらない。
いまのお気に入りはポケット付きのノートブック。
コンパクトなミニペンを差して
ポケットのなかにはクリップや付箋をしまっておく。
ノートブックを開くたびに、
幼い頃に文房具屋さんで感じたワクワクが蘇ってくる。
これは私だけの最小の秘密基地なんだ。
テキスト:猪飼尚司
イラストレーション:宮崎知恵(STOMACHACHE.)
NOTE-A-NOTE
コンパクトなノートブックとカードポケットを組み合わせた新しい発想のアイテム。使い方は人それぞれ、自由自在です。人やモノ、新しいアイディアとの出会いをポケットにイン、ノートにオン。
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